感想2007年分内のエントリ

ナナフシの恋 / 黒田研二著

2007年12月 30日 日曜日

ナナフシの恋~Mimetic Girl~ (講談社ノベルス クM- 7)
ナナフシの恋~Mimetic Girl~ (講談社ノベルス クM- 7)
著者: 黒田 研二
出版者: 講談社
発売日: 2007-12-07

25日前に自殺を図り、意識不明のまま入院中の麻帆からメールが届いた。彼女のケータイは、自殺したときから行方が分からなくなっていた。メールの指示するとおり、新校舎の教室に行くと、同じく呼び出されたクラスメートたちが数人集まってきた。

教室から全く動かずに展開される推理劇。そうですね、舞台にしたりすると面白いかも。消えた携帯電話や、麻帆が自殺した時の行動、そして謎のメールの送信者。クラスメートたちが語っていくうちに、徐々に真相が明らかになっていくという手法は、使い古された話ではあるものの、私は結構好きです。「私は」と書いたとおり、こういうのって好き嫌いあると思うのですが、でも著者らしいラストだったし、おすすめの部類にはいるかな。



ぶたぶたと秘密のアップルパイ / 矢崎存美著

2007年12月 21日 金曜日

ぶたぶたと秘密のアップルパイ (光文社文庫 や 24-5)
ぶたぶたと秘密のアップルパイ (光文社文庫 や 24-5)
著者: 矢崎 存美
出版者: 光文社
発売日: 2007-12-06

お気に入りの喫茶店のレシートで「キリ番」を出した森泉風子に、店員は言った。特典として「3号店」の会員になれると。

何よりも会員制のコーヒー専門店で、美味しいお菓子を食べながら美味しいコーヒーを飲める場所があるというのがうらやましー。私はとにかくコーヒー党で、何をするのでもまずはコーヒーというタイプ。競馬新聞見ながらも、パソコンでプログラムを組むときも、本を読むときも、コーヒーの匂いを嗅ぐとリラックスできるので、コーヒーが手放せないという感じです。コーヒーを飲むこともそうですが、あの香りが重要なポイントなので、喫茶店であっても分煙なんてもってのほか。その点スタバは、コーヒーの香りが消えるからタバコはダメというのはコーヒーの持つ魅力を最大限出そうとする徹底ぶりですばらしいと思うのです。さらにできればその場で挽いてくれるのを出してもらえるのが一番ありがたいんですけどね。そんなコーヒーにもケーキにもこだわりある喫茶店の3号店にいくと、さらにあのぶたぶたさんに会えるのです。さらにいいなあ。というわけで、その3号店を中心に、出入りする人々を描いた連作短編集。今回はあまりぶたぶたさんが動かないので残念なのですが、それでもぶたぶたの癒しオーラ満載で、おすすめです。



遠まわりする雛 / 米澤穂信著

2007年12月 16日 日曜日

遠まわりする雛
遠まわりする雛
著者: 米澤 穂信
出版者: 角川書店
発売日: 2007-10-01

1〜3作の隙間を埋めるエピソードが収録された連作短編集。古典部発足の頃から、1年の春休みまで、どちらかというとキャラクターの動きに重点を置いたストーリーになってます。読むなら『氷菓』『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番』を先に読んだほうが良いとは思うのですが、これだけでも読める形にはなっている作品集です。これでひとつまとめて、次は2年生になった彼らの話なのでしょうか。新入生はやってくるのでしょうか。意外とこのキャラクターも、そして「ばずるげーむハイスクール」を思い出させるようなストーリーも、結構お気に入りなんで、続けてもらうと嬉しいかも。



クドリャフカの順番 / 米澤穂信著

2007年12月 16日 日曜日

クドリャフカの順番―「十文字」事件
クドリャフカの順番―「十文字」事件
著者: 米澤 穂信
出版者: 角川書店
発売日: 2005-07-01

いよいよ神山高校文化祭が始まった。古典部発行の『氷菓』も無事完成したのだが、文化祭を前に大きな問題に直面した。なんと30部の予定だった部数が、手違いで200部刷られてしまったのだ。損得分岐点は120部。なんとか売り切って文化祭を楽しみたい古典部だったが、その文化祭も一筋縄ではいかない事件が起きて・・・

第1作で古典部が発足、第2作で『氷菓』の作成、そしていよいよ文化祭本番の第3作。4人それぞれの視点が入り交じって『氷菓』を売るために頑張る様が描写されるのですが、意外なところに伏線があったりして、単なる青春群像小説ではない、かなりきっちりしたミステリに仕上がってます。「これはあえて視点を変えてるんだろうなあ」とは思ってたけど、こんなところまで作り込んでたのかぁとラストで感動してしまいました。ミステリ好きな方におすすめ。今までの3作の中では一番面白かったかも。



愚者のエンドロール / 米澤穂信著

2007年12月 14日 金曜日

愚者のエンドロール (角川スニーカー文庫)
愚者のエンドロール (角川スニーカー文庫)
著者: 米澤 穂信
出版者: 角川書店
発売日: 2002-07-01

文化祭まであと僅か。『氷菓』制作の最終段階で忙しい古典部は、夏休み中も学校に集まっていた。話が一段落したところで千反田が突然言い出す。「試写会を見に行きませんか」

先輩である2年生のクラス制作映画が、解決部分を残して脚本家が倒れてしまったという設定の物語。解決部分は一体どうなるのか、人々に話を聞いて考えるという趣向で、やたらと回りくどいところまで、すごく「ミステリ」に忠実な作品でした。ラストは「うーん、そうなのか」と「おお!」と評価が分かれるところかもしれませんが、今現在、続きの『クドリャフカの順番』を読みながら、「あれはあれで良かったのかな」と思っているところです。



ゴールデンスランバー / 伊坂幸太郎著

2007年12月 6日 木曜日

ゴールデンスランバー
ゴールデンスランバー
著者: 伊坂 幸太郎
出版者: 新潮社
発売日: 2007-11-29

青柳は、大学時代の友人、森田森吾から突然呼び出された。しばらくぶりに会ったのに、どうも森田の様子がおかしい。そう思っていたところに突然彼が言い出した。おまえは陥れられようとしている、首相殺しの犯人にさせられるぞ。だから逃げろと。

オズワルドにされそうになった、善良な市民青柳雅春の逃走劇。単に青柳がひたすら逃げてるのではなく、次々と視点が変わる手法は相変わらず健在です。今回このストーリーの中心となるのがマスコミ。テレビという箱を中心に、全く知らない人々が微妙に繋がっていくというのは、全体として流れるマスコミ批判を皮肉っているようにも思えます、なんてことはまるでないのかもしれないですが。

だからハラハラドキドキの逃走劇を期待している方は、やや期待はずれになってしまうかも。スピード感というより、その微妙で淡い繋がりを楽しむ物語の気がします。登場人物が誰も彼もややズレ加減なのも、伊坂節と言えるんじゃないかなあ。最近『砂漠』を読み返して、改めて思いました。この人が描く登場人物ってどこかズレ感があるんですよね。誰でもおすすめまではいかないですが、伊坂ファンにはおすすめです。



氷菓 / 米澤穂信著

2007年11月 30日 金曜日

氷菓 (角川スニーカー文庫)
氷菓 (角川スニーカー文庫)
著者: 米澤 穂信
出版者: 角川書店
発売日: 2001-10-01

神山高校に合格し、高校生活を送る折木奉太郎のもとに、世界のマイナー国を飛び回る姉から手紙が届いた。今年入部者がいないと自然と廃部になってしまう古典部に入部しなさいというのだ。何をするのかも分からず、一人古典部になり、今年の部室として割り当てられた地学講義室に入ると、先客がいた。

高校生活で出会う様々な日常の謎を解く物語、かと思いきや、意外と「日常」ではない謎でした。この本が出来たときはシリーズ化が決定していたのかは知りませんが、古典部シリーズ第1弾にあたるこの作品では、「古典部の謎」というのが全体を流れていて、それが資料と考察で明らかにされていくという趣向。高校が舞台ということもあって、「パズルゲームはいすくーる」を思い出してしまいました。妙に子供っぽく、一方で背伸びをしようと頑張っている登場人物たちもある意味高校生らしいと言えばらしいのでしょうか。少なくとも続きは読んでみようかなーと思ったので、おすすめの部類に入ります。